診断名をどう使うのか
お子様に何らかの診断名がついたとします。
その診断名はどういうふうに使ったらいいのでしょうか?
20年ほど前まで、「専門家」でも、場合によっては「お医者様」でも「自閉症」などの診断名を親御さんに言ってはいけない、という時代がありました。それはどう周囲が対応したらいいかわからないから、ということが大きな理由でした。
今はそんな時代ではありません。
対応する手立て、考え方はあります。
では診断名をどう使えばいいのでしょうか?
発達障害に関する診断名「自閉症スペクトラム」「ADHD」「学習障害」などは、「こういう時に同じような行動をする人たちがいるね」という「行動(これは発達検査なども含みます。発達検査も質問・設問に対し、どう言語行動を含めた、どういう行動をしたかをみるものですから)」をグループ分けしてつけていきます。
逆に、診断名がつけば、そこから「一般的な特性」がわかるわけです。
しかしひとりひとりにとってその現れ方は異なり、また生まれ育ったところも、興味関心なども違うので「個別の特性」というものも出てきます。これは、関わったり、インタビューしたり、過去の記録を読んだりして理解する必要があるでしょう。
目の前のお子さんが、周囲の人から認められつつ
「へえっ」「ほお」「おもろいやん」
と思われている状態なら診断名なんか必要ありません。
しかし、ご本人が、あるいは周囲の人が
「こまった!」
と思うような事態が続くなら、診断名は大きな力になります。
診断名から「一般的な特性」がわかります。
そして「個別の特性」を考え、お子さんをとりまく環境、特に周囲の人たちの様子も含めて理解していきます。
その上で「こまった!」を解決する「手立て」を考えます。
この「手立て」は「何かをする」だけでなく「何もしない」も含みます。
「手立て」がうまくいけば、「こまった!」が解決し、また「へえっ」「ほお」「おもろいやん」で過ごしていけます。
しかし当然うまくいかない場合もあります。
そうすればまた
「一般的な特性」「個別の特性」「環境」を考えて「手立て」を考えます。
そしてうまくいけば診断名を忘れて暮らしていくこともできます。
診断名は決して仲間はずれにするためのものではありません。
しかし、私は仕事ですから診断名を忘れるわけにはいきません。
と説明してきましたが・・・
私だけでなく、周囲のみなさんが、もし診断名のついている人に対する場合、いつも頭の片隅に診断名を置いておいて下さると、お子さんにしろ、成人にしろ、ご本人がより楽に暮らせるのじゃないかなあ、と考え始めています。